「重さ」と「質量」の違い

「理科」を教えている身なのですが、中学生に「質量」と「重さ」は違うということを伝えるのに困るわけです。教科書通りに文言を覚えても意味がないので。 大人の皆さん、「重さ」と「質量」の違い説明できますか。中1の理科の教科書に載ってるんですよ。

教科書の書かれ方といえば、「重さ」は「物体にはたらく重力の大きさ」のことであり、「質量」は「場所が変わっても変化しない物質そのものの量」のことである。この文章を読んで、すんなり理解できる生徒は多くなく「はて?」と感じるのが普通なんだろうなと。

一般的に人々が重さと言っているものの大半が、理科の教科書では「質量」であり、理科の教科書でいうところの「重さ」はちょっと違う概念なのですが。。。と伝えても理解されるはずもなく。小学生のときに使ったであろう「上皿天秤」は質量を計測していて、「ばねばかり」は「重さ」を質量に換算して表示していたのだといえば……彼らは混乱するわけです。(あ、小学校の先生に知っておいていただきたいのは、上皿天秤がなぜ登場するのかという意義を理解してほしいですね。昔からある実験器具だから、覚え方を…なんてこと言わずに、ちゃんと質量を計測しているのだと。それを理解したうえで、普段使わないから電子天秤で計測したらいいよねと伝えればいいわけで。それなりに意味があって概念形成のために取り上げられているという背景は知っておいてもらいたいです。)

というわけで、自分が授業するときは生徒に投げかけて考えてもらっています。「考える」に慣れていないと沈黙してしまいますが、中には「質量はモノとモノとを比較しないと計測できない」と本質を突いた表現だったり「フライドポテトの重さは量りで計測するもの。質量は本数的なもの」とイメージが鋭かったり。若い彼らの創造性はやっぱり素敵だなと感心させられます。

「質量はモノとモノとを比較しないと計測できない」 というのは、キログラム原器からただしい1kgの質量を測定しているので、キログラム原器がなければ1kgは決められないもの(定義が変更されるのでもっとややこしくなりますが、原理としてはこれでいいわけ)ですし、「ポテトの本数的なもの」という感覚は原子数によって質量が決まるし、ポテトが別のものに変化すれば同じ本数でも質量が変わるという化学の原子量につながる感じだなと。こんな感じで、アイデアを紡いでいけば、面白く科学の概念を理解していけ、抽象的な概念形成につながるんじゃないかと。

キログラム原器のレプリカです。中心にある原器を天秤の片側に載せ、つり合うものが1kgとするのがこれまでの1kgの正しい決め方です。

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